プルルルル、プルルルル。



電話の呼び出し音が聴こえる。


__________愛海、今は出られないのかな。


部屋に居て聴こえないのかな。

それとも、出掛けてるのかな。

もしかして、もう知っててお見舞いに行っちゃったとか…。


沢山の仮説を思い浮かべて、モヤモヤしたまま受話器を握る。

繋がらないので後で掛け直そう、そう思った時だった。


『もしもし』


呼び出し音が聞こえなくなって、愛海の声がした。


「もしもし、私。咲だよ。今、大丈夫かな?」


『おぉ、咲か!
電話出るの面倒だったから居留守使うとこだったわ!

うん、大丈夫だよ~?』


愛海の、明るい声がする。

__________この調子じゃ、知らないみたいだな。


「あの、ちょっと話があってさ…。」


『うん。どうした、声暗いけど…?』


私の異変に気付いたのか、愛海の声が心配そうになる。


「もう、知ってる?悠莉の事。
その事で電話したんだけど…。」


『悠莉がどうかしたの?
忘れ物とか、何か落として見つからないとか?』