その瞬間‹トキ›、私は無表情だったと思う。
可笑しいな、もう春なのに背中越しに冷たい風を感じた気がした。
「どういう…事?」
咄嗟に出た言葉、だったんだ。
母がそんな冗談を言う様な人じゃ無いことも、そんな無神経な人じゃ無いこともよく知っている。
それでも、聞き返さずには居られなかった。
「突然、悠莉ちゃんのお母さんから電話があってね、悠莉ちゃんが昨日倒れたって。
出来れば昨日の内に、連絡したかったそうなんだけれど、容態が落ち着いたのが遅い時間だったみたいで…。」
_____あ、愛海は知ってるだろうか。
_____電話…した方が良いよね。
「お母さん、お見舞い行ってもいい?
勿論、愛海も一緒に。」
「そうね、それじゃあ一緒に行きましょうか。
お母さんから、連絡しておくわね。」
親同士も仲が良くて。
だけど、愛海の所は共働きだから、こうして一緒に遊園地とかにも出掛けたりした。
取り敢えず、早く電話しよう。