数十分後。
「今日は話が出来てよかったよ、ありがとう。
良ければね、たまにでいいから連絡して欲しいな。」
此処でいいよ、とマンションの前で言った愛海。
愛海はどこか、スッキリした様子で
少し恥ずかしがりながら、紙に何かを書き手渡してきた。
「私のケー番だから、何かあったら連絡してね?
昔みたいには無理でも、少しづつまた仲良くしよう?」
ニコリと微笑んだ愛海に、私は大きく頷く。
「勿論だよ! 私も今日話せてよかった。
今度この辺案内してよ、カフェとかさ?
絶対、連絡するから!」
笑い返した私に、更に笑顔になった。
「うん!約束だからね!」
"じゃあ"と帰って行った愛海。
幼かった頃の、見慣れた背中から少し大きくなった背中を見送る。
愛海とこんなに話したのは、久しぶりだ。
それでも久しぶりに感じないのは、お互い、変わって無いところもあるからだろうか。
もうすぐ桜が咲く、そんな3月下旬のある日。
旧友と偶然の再会を果たし、
新しく加わった携帯の番号を見て嬉しく思う私の心は、
何処か穏やかだった________。