「…遊ばれてたの。何人かの男子で賭け事してたの。…誰が一番多く…ヤれるかって…」



そのときのこと、鮮明に覚えてる。
彼の豹変した表情。
怒りと悲しみ。
そして…絶望。



「…好きだったのに」



あたしは気づいたら泣いていた。
涙が止まらなかった。
すると、天城くんは何も言わずあたしに近づいて抱き締めた。
そして、あたしの頭を優しく撫でた。

…このときのあたしは誰でもよかったのかもしれない。
天城くんに触られても何も反応が起こらなかった。
むしろ、安心感があった。



「…その後にお父さんとお母さんが離婚したの。…原因はお父さんの浮気」



…お父さんのことも好きだったのに。
信じてたのに…



「…それから男の人は恐怖でしかなかった。誰も信じられなかった…」



天城くんのことだって、信じてない。
…信用しちゃダメなの。



「…だから天城くんみたいな嘘つき、嫌いなの…!」



あたしは天城くんから離れた。
泣き顔は見られたくなかったから、俯いた。
天城くんは今、どんな顔をしてるかな…