天城くんのお父さんが車で迎えに来てくれた。



「着いたぞー」



気がつくと、一軒の大きな家の前で止まっていた。
…まさか、この家!?



「まぁ、素敵なお家ねぇ!」

「すごい…」



オシャレな外装に大きな門。
二階建ての一軒家。
…お金持ちなの?



「二人で暮らすには寂しくてね」

「これからは賑やかになるわねぇ!」



盛り上がってるのは二人だけだよ。
そう思いながら荷物を車から出す。

天城くんのお父さんに中を案内してもらった。
…そういえば、天城くんは?
留守の方があたし的にはありがたいけどね。



中もとても広かった。
シンプルな家具、綺麗なキッチン。
庭までついていた。



「気に入ってくれると嬉しいなー」

「すごいわ!こんなお家に住めるなんて夢みたい!」

「うん…」



お母さんは上機嫌だった。
…ほんとに住むんだって自覚がだんだんと湧いてきた。
そう思うと、不安で仕方なかった。