次の日。
夜11時ぐらいにいつもお母さんが帰ってくる。
あたしの日課は学校から帰って、お母さんと自分の夕飯を作る。
そしてお風呂に入って遅くまでテレビを観る。
お母さんが帰って来るまでは絶対に寝ない。

今日もいつものように夜遅くに帰って来た。



「おかえり、お母さん」



リビングに入ると、お母さんはあたしが作ったオムライスを温めようとしていた。



「ただいま。毎日ありがとうね」

「料理するのは好きだから」

「…愛衣、ちょっといい?」

「なに?」



あたしはソファーに座った。
お母さんの口調がいつもとは違って真剣なのがわかった。



「…お母さん、愛衣に大事なこと言ってなかった」

「どうしたの?」



お母さんはオムライスを一口食べた。
美味しいと言ってくれた。
あたしはその言葉が何よりも嬉しかった。