「えっ…」
「そういうことだから、行くね」
俺は申し訳なさそうに答えて、その場から立ち去ろうとした。
「ま、待って!理由だけでも教えて欲しいの…!」
「理由…?」
「うん。あたしがダメだった理由」
ダメな理由って何だよ。
理由なんてないっつーの。
単に女とか恋愛とか興味ないってだけ。
「理由なんて何もないよ。ただ今は恋愛をする気はないんだ」
「…ズルいよ。ほんとのこと言ってよ…」
その子は急に泣き出した。
マジかよ…
面倒くせぇなぁ…
だからヤなんだよ、女は。
「嘘なんかじゃないよ。ほんとにごめんね」
「うぅ…天城くんのこと…ほんとに好きだったのに…」
…嘘だけどね。
俺はその場を離れた。
…いつの間にか嘘をつくことが当たり前になっていた。
そして、嘘をつくことが上手くなっていた。
俺って最低な人間だ。