「天城くん、おはよう!」

「おはよう」

「きゃー!挨拶してくれたー!!」



女は単純だ。
俺が話しかければ顔を赤くするし、俺が微笑みかければ恥ずかしがる。

…俺のことなんか何も知らないくせに。
俺が完璧な男だと思ってる。
…バカじゃねぇの?

でも、本性を出すと面倒くさいから違う俺を作っている。



「…あの、天城くん!」

「ん?」



後ろから呼ばれ、振り向くと一人の女子がいた。
…またか。



「話したいことがあるの…」

「…分かった」



俺はその子について行った。
人にあまり見られないように廊下の隅で話す。



「なに?話って」

「あのね、あたし…天城くんのこと…」



その子は顔を真っ赤に染めてモジモジし始める。
…この展開は。



「す、好きなの…!」



…やっぱりな。
女って分かりやすいよなー。



「ごめん。俺、君の期待には答えられない」