「しずく」



そう呼ばれるたび、日々ほとんど動かない口角が、ゆるゆると自然に上がるほど嬉しかったのを覚えている。



15階建てマンションの、9階の902号室。

小学二年生の時に、県を3つ越えてここに来た。