葬式の日



「心愛ちゃん、どーする?」


「うちは引き取れないわよ!?」

「うちだって無理よ!子供3人もいるし...」

「うちなんかまだ赤ちゃん生まれたばかりなのよ?」

「うちだって...!!」


親戚が私をどこの家が引き取るのかを話し合っている。


正直どこにも行きたくなかった。


お母さんとお父さんと3人で暮らしてたあの家で死ぬまで暮らしたかった



「家の事もはなさなきゃね」


「売ったとしても...買い手つくかしら」


「まぁまだ綺麗な家だし、売れるんじゃない?」



待ってよ。冗談じゃない。


この家を売るつもりなの?

あんた達の家じゃないのに?


「...や。いやよ!やめて!」


「心愛ちゃん!?ど、どうしたの?落ち着いて?」


「こ、この家は私の家なの!!あんた達の家じゃない!!売らせたりなんかしない!!」


思わず泣き叫んでしまった


「いい加減にしなさい!!」


おばさんに怒られた



「じゃあうちにくる?」


「「え!?」」


皆が一斉に目を丸くして、
私を引き取ると言ったいとこの藤井 蒼大(ふじい そうた)の彼女を見る



「心愛ちゃんいい子だし、心愛ちゃんになら全然住んでもらってもいいけどなぁ」



「でもあなた、心愛ちゃんの親戚でもなんでもないじゃない」


確かにそうだ。



私のいとこの彼女だということは間違いない。

でも所詮は彼女



結婚すると決まっているわけでも、これから先、本当に私の面倒をみれるという確信があるわけでもない。


そんな状況で簡単に引き取るなんて、みんなが賛成するはずがない。


「そうですよ、お姉さん。それに、私はお姉さんの事、顔と蒼大の彼女ってことしか知らないし」


「私は長瀬 日向葵(ながせ ひなた)
心愛ちゃんのことこれからもっと知っていきたい。私じゃダメかな?」



「おい日向葵、何がなんでもそれは無茶だ。」


蒼大が呆れた顔をして日向葵さんにそう言った



「なんで?どうして?」



「心愛とすごく仲がよかったり、打ち解けあっている関係なら俺だって文句はない。だが、お前と心愛は...」


「がいい。」


「え?」


「私、日向葵さんの家がいい。」


私は蒼大の言葉の途中で思わず出た言葉に驚いた


私は何を言ってるんだ??


「ありがと!よろしくね」

泣いて喜ぶ日向葵さんの顔を見たら、そんなことどうでもよくなってしまった