ブワッ

開けた瞬間一気に風が体をすり抜ける。
僕はその風を受け止めきれず少しよろめいてしまった。

体勢をとりなおし、顔を上げて前を見た。

「す…ごい…っ!」

思わず口からその言葉が出た。
目は目の前の光景から離れるのを拒んだ。



目の前には町と青空が美しく飾られていた。


あまり綺麗で、僕には飾り物のようにも思えた。

「こんな高い所から町を見たのは初めてだ…。


そしてふと…ここから落ちたら簡単に死ねるんじゃないかと思った…

僕は何かに引っ張られるように柵に近づく。


『ここも捨てたもんじゃないと思わないかい?』