一方、鈴は拳を固く握りしめ、ブルブルと肩を震わしている。


「……ウチの友達は……そないな悪いことせえへん! 知ったような口をきかんといてや!」

「…………あくまでも盲目の信頼を寄せるか。それならそれでいいだろう」


そう言うと、大神は教室の出口に向かって歩き出した。


「……おい、自習してろと言われただろう」

「もう帰っていいよ」

大神が言い終わると同時に、校内放送が始まった。



『全校生徒に告ぐ! 本日の授業は全て中止します! ただちに帰り支度を整え、真っ直ぐ自宅に帰るように! ただし、1年E組の生徒は全員、体育館に残っていなさい! 繰り返す……本日の授業は全て……』

「おい! 外を見てみろよ、パトカー来てんぞ!」


1人の生徒が窓の外を指差すと、他の者もそちらに集まった。



「1年E組……レイちゃんのクラスやないか……何があったんや……」

「……さあな」


素っ気なく答えながら、黒斗は帰り支度を始めるのだった。



突然、帰宅を命じられ、不審に思いながらも生徒達は学校を後にしていく。



「なあなあ、コッソリ1のEに行ってみようぜ!」

その中から何人かの好奇心と野次馬根性を出した生徒達が、立ち入りを禁止されている1年E組や、体育館に向かった。



「……クロちゃん。ウチらも行ってみんか?」

「そうだな……」


事件が起きたのが玲二のクラスというだけあって、気になった黒斗と鈴は、まず1年E組の教室に向かった。