「ただならぬ事態なのは間違いないね、あの先生の様子的に」


いつの間にか傍らに立っていた大神が言葉を発し、黒斗が顔をしかめた。


「どうせ何が起きたのか知ってるんだろ? 事件に詳しい大神さんよ」

「別に詳しい訳じゃないさ、たまたま知ってたんだよ」


飄々(ひょうひょう)と応対する大神。

いつもなら2人を宥(なだ)める鈴だが、今日ばかりは訝しげな視線で大神を見つめている。


「……大神くん。前に、みきほさんとは知り合い言うてたよな?」


母親に殺され亡くなったみきほの名を口にすると、僅かに大神の眉がピクリと動いた。


「みきほさんに訊いたら、大神くんのことを知らへん言うとったで。大神くんは、みきほさんの何だったんや? 何で知り合いやって、ウソついたん? ……それだけやあらへん」


一呼吸置いて、鈴は更に続ける。


「大神くん、ただの男子高校生にしては事件に詳しすぎや。冤罪(えんざい)やった田島さんの件も、動物虐待の件も……。何で、そないに詳しいんや?」

「……………………」


やはり何も答えない大神。