如月高校 1年E組 教室内



キーンコーンカーンコーン



1時限目の授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響くが、教室に教師が姿を見せる様子は無い。


「おい、先生来ないじゃん」

「なになに、自習という名の自由時間?」

「いやっほー! 王様ゲームでもしようぜ!」

「先生のくせに遅刻するとかマジありえないんですけど」


教師が現れないことに生徒達は多種多様の反応を示し、教室内に喧騒が起こる。


(1時間目って確か数学だっけ。やっぱり小野寺先生、具合悪いのかなあ……)


今朝、真っ青だった小野寺の顔を思い出し、心配する玲二。



ガラガラガラ



乱暴に扉を開ける音が鳴り響き、生徒達が一斉にそちらを見た。


「……は~い。しぇんせいは、きょーもげんきい、はようまら~」




訳の分からないことを言いながら入ってきたのは、小野寺。

フラフラとおぼつかない足取りで教壇に向かうが、一歩歩く度に、頭がグラグラと揺れ動き、口から流れる唾液が服や床に垂れていく。