トモキが眉間にシワを寄せて難しい顔をしていると、楽屋のドアを開けて誰かが入って来るのが視界に入った。

「よぅ。そんな難しい顔してどうしたんだ?」

その声に顔を上げたトモキは、目の前にいるはずのない人がいる事に驚いて一瞬目を見開き、そんなはずはないと再び下を向いた。

「オイオイ、オレの姿が見えてねぇのか?」

トモキはもう一度その人をじっと見て、真顔で呟く。

「本物のヒロさんがこんなとこにいるわけないので幻かと。」

「本物だけど?」