ライブの後、話があるから楽屋に残るようにとライブハウスのマスターに言われたトモキは、一人楽屋で水を飲みながらぼんやりと考えていた。

(バンド、やめようかな…。)

リュウトがいなくなってから感じ始めた違和感は、もう自分の中でごまかしきれないほど大きくなっていた。

(オレもそろそろ本気で将来考えてかないと、就職できないかも知れないし…。)

就活しないと…とは思うものの、自分は一体、何がしたいのだろうと考える。

どんな会社に就職したいのか。

なんの仕事がしたいのか。

(あれ……?オレってホントに…夢もなんにも持ってない…?)