リュウトは遠い日の記憶を手繰り寄せる。

(確かに…よく一緒に遊んでた友達がいたな。)

髪を櫛で梳きながら、リュウトは鏡に映るその女性の顔をまじまじと見た。

「あ…もしかして、酒井?」

「うん。」

「いやー…全然わからなかった。久しぶりだな。確か、遠くの私立中学に行って寮に入ったって…。」

「うん。中高一貫の女子校にね…。大学進学を機にこっちに戻ってきたの。」

「そうか。で、今日はどうする?」

「あっ、そうだったね…。後ろ、10㎝くらい切ってもらって…あとは宮原くんに任せるよ。」

「大雑把だな…。まぁいいけど…。」