それからリュウトは、彼女を自宅まで送り届けた。


背中にしがみつく彼女の温もりや柔らかさを少しでも長く感じていたいと思いながら、リュウトはバイクを走らせた。

次はいつ会えるのかわからない。

もしかしたら、もう会えないかも知れない。


信号が赤から青に変わる時、リュウトは“しっかり掴まってろよ”と彼女の手を握った。

彼氏のように手を繋いで歩く事はできないけれど、小柄な彼女の小さな手を、せめて一瞬だけでも握りたかった。

そして彼女にも、自分の事を覚えていて、時々は思い出して欲しい。

他の女の子には感じた事のない淡い感情に戸惑いながら、リュウトは自分の柄でもないと、どこか幸せそうに苦笑いした。