しばらく二人で肩を寄せ合って海を眺めた。

空との境目がぼやけ始めた遠くの水平線を、トモキは黙って見つめている。

陽が暮れて、時折肌を撫でる海風が冷たくなって来た頃、トモキは少し冷えたアユミの唇に、優しくキスをした。

そっと唇を離すと、ゆっくりとアユミがまぶたを開き、少し恥ずかしそうに目を伏せた。

トモキはアユミの手を握り、優しく笑う。

「冷えて来たし、そろそろ行こうか。」

「うん…。」

そしてまた二人は手を繋ぎ、駅に向かって歩き始めた。

トモキが指を絡めて手を繋ぎ直すと、アユミは照れ臭そうに笑った。