閉じた瞼の奥には彼女の笑顔ばかりが浮かぶ。

“友達”だと思うからこそ、彼女は安心して笑うのだろう。

“友達”以上の感情を持っている事を彼女に知られたら…もう、会えなくなるかも知れない。

(オレの気持ちなんか…アイツには知られたくない…。)

リュウトは目を閉じたまま、ただ黙って雨音を聞いていた。

気持ちが伝わることはなくても、“今頃何をしているのだろう”と思える相手がいる事は幸せかも知れない。

胸に芽生えた密かな恋心を誰にも知られないように、心の奥に隠してしまおうとリュウトは思った。