ケンは私の店長への気持ちを全部知っている。
私から言ったわけではない、むしろ言うつもりなんてなかった。
それなのにケンは隠していた私の気持ちを見破った。
「ももてぃって店長のこと、好きでしょ?」と。
昔から嘘をつくことが苦手な私は、顔を真っ赤に染めて全力で否定をした。
…もちろんこの後、どうなったかは言うまでもない。
でもそれからというもの、ケンにちょくちょく相談をしている。
ちょっとした、私の相談所。
そして一人っ子の私にとって、ケンはいい弟的存在でもあったり。
ケンは多分、私のことを年上とも思わず、むしろバカにしているような気もするけれど…。
ま、なんだかんだそれがちょうどいい関係。
「ももてぃ…クリスマス暇?」
「え…?」
不意にケンは、呟いた。
クリスマスって…?
あのクリスマス?
聖なる夜のクリスマス?
あちらこちらで恋人ムードのあのクリスマス?
ええええ?
待って、ちょっと待って。
落ち着け、落ち着け私。
ケンにばれないように、スーハーと呼吸をする。
いくらケンでも、男。こう見えても一人の男。
そんなケンが、あのクリスマスに私の予定を聞くなんて…!!!
これは…もしや、そうなのか?そういうことなの…?
ケンは私のことそういう対象として…??
「おーい、お姉さん?」
「へっ?」
「なんかよからぬ妄想してません?」
「へっ?」
ヨカラヌモウソウ…????
「クリスマスの予定を聞くだなんて、もしやケンってば私のことそういう対象でみてるんじゃ?とか考えていません?」
「……。」
わざわざ私の声色まで真似するケン。
あぁ、穴があったら入りたいってまさにこういうこと。
バカにされている、完全にバカにされている…!!!!