「ありがとうございました、またお越しくださいませー」


―――次の日。


今日は朝からしとしとと雨が降っている。



「嫌だねぇ、雨。気分まで滅入っちゃうね。」


鈴音さんは窓の外を見つめながら、商品の整理をしていた。


「冬の雨はまた一段と寒いですね。」


「ね、雪にならないといいけど。」


今日はこのままお客さん少ないといいね~と言いながら鈴音さんは倉庫へ行った。



うん、でも本当にそう願っちゃう。


特にここ最近は忙しいから。



「百瀬さん?」


「あ、はい…」


帳票の整理が終わったのか、店長が裏から出てきた。


久々の店長。


今朝、出勤して顔を合わせたときは、ドキンと鼓動が波を打った。


「まだ先なんだけど、忘れないうちに言っておこうと思って。」


「はい。」


「4月から隣の地区で新店が出店するんだけど、そこの店舗の店長が来月から各店舗で研修のために2週間くらい来るから…よろしくね。

えっとね、うちはたしか1月の下旬くらいから2週間。」


「あ、そうなんですか…分かりました。」


「まぁそんな緊張せずに普段通りやればいいよ。多分お店のことは百瀬さんや相川君たちの方が知ってるくらいだと思うから。研修っても店長研修だから、そんな従業員と深く関わらないだろうし。」


「分かりました。」


「相川君にも言っとかないと。俺、忘れそうだわ。」


店長は苦笑いをした。