「私ね、今回初めて気づいたの。」
「え…?」
「翔のこと、こんなにも好きだったんだなぁって。」
「ちはる…」
ちはるはクスっと笑った。
その目にもう涙はたまっていなかった。
「今までどちらかというと、言い方悪いけど、翔がずっと私のこと追いかけてきた感じなんだよね。私は追われる方って感じで、なんか私はけっこう余裕があった。
でも今回、正直すごく焦ったし、すごく嫉妬もした。
高校と違って、大学ももうバラバラだし、見えない部分も多くてさ。私の知らない翔がいるんだなぁって。翔が離れて行っちゃいそうで怖かったんだと思う。」
「そっか…、ちはるたちずっと順調だったしね。」
「うん、だから余計にそう感じるのかも。もっと翔のこと大切にしなきゃって思った。いて当たり前じゃないんだって。」
ふと視線をそらすちはるの横顔はすごく大人びて見えた。
私とは全然違うな…って思った。
「飛鳥、ありがとう。」
「ううん。」
「まずは翔に謝らなきゃ。飛鳥の言う通り、ちゃんと向き合う。ちゃんと話聞くよ。」
「そうだね、ちはる達なら絶対大丈夫。私が保証する、傍でずっと見てきたんだもん。」
ちはるはフフフッと笑った。