翔くんが浮気をするなんて思えない。


だって、あの翔くんが……


うん、絶対それだけはないよ。



ちはるのこと大好きだもん、本当にちはるのこと大切に思っている。


見てて分かる、間違いないよ。



「きっと何か訳があるんだよ。」



ちはるは俯きながら、首を横に振った。



「もうね…自分でも分かんなくて。翔のこと、信じてたから。ショックで…。

だからたとえどんな理由があろうとも、なんか許せなくて…

翔が憎いわけじゃないの、でもなんかもうグチャグチャ…」


「……。」


「翔にひどいこと言った自分も嫌なの、本当に自己嫌悪。もう負のスパイラルなの。

悪い方悪い方に考えちゃうし、自分でもどんどんグチャグチャになってく。

飛鳥ぁ…、私どうしたらいいの?」


「ちはる…。」



それだけちはるの悲しみは深いんだね。



翔くんのこと心から信じてたんだ、だから余計に裏切られたっていうショックが大きいんだね。



「だったらちはる、ちゃんと翔くんと向き合わなきゃ。なおさら。

逃げてちゃだめだよ、翔くんと話さなきゃ。」



「…でも。」



「大丈夫だよ、今まで思い出してみなよ?もう二人付き合ってどれくらい経つと思ってるの?

二人の仲、そんなヤワじゃないでしょう?固く結ばれてるものあるでしょう?

もう一回翔くんのこと信じてみなよ。それでダメだったらその時はその時。

大丈夫、私がいる!私がちはるのそばにいるから。」



「飛鳥…」


「…ね?」


「うん…ありがとう。」


ちはるは、目を真っ赤にさせながらも、今日初めて笑った。