カランカラン……


いらっしゃいませー



ジャズが流れるしっとりとした大人な雰囲気のカフェ。



「ちはる……お待たせ。」


お店の一番奥の席に座っていたちはる。


俯き静かに首を横に振った。



「ご注文の方はどうされますか…?」


「あ…」


チラッとテーブルに目を移すと、半分より少なくなっていたちはるのコーヒーカップ。


もしかして、長い時間ここにいたのかな?



「ホットコーヒー2つお願いします。」


「かしこまりました。」


え…、と静かに顔をあげるちはる。


「ずっとここにいたんでしょ、もう冷めちゃってるよ。あったかいコーヒー飲もう?」


「うん…」


真っ赤にしたちはるの目から、再び涙がこぼれた。



しばらく沈黙が続いた。



私は何も聞かなかった。


ちはるが話始めてくれるのをそっと待つ。


これが私とちはるの相談スタイル。


あくまで相手のペース、まずは話を聞いてあげる。



コーヒーが運ばれ、一口飲むと少し落ち着いたのか、ちはるはぽつりぽつりと話始めた。