「もしもし?」
電話を掛けると数コールで、ちはるは出た。
「飛鳥、ごめんね。バイトだったよね。」
「うん、それより遅くなってごめん。大丈夫…?」
「もうダメかもしれない…」
涙声のちはる。
ちはる…泣いてるの?
「何言ってんの、駅前のカフェで待ってるね。」
お母さんにちょっと遅くなる、と連絡を入れ駅前のカフェへ車を走らせた。
ちはる、大丈夫かな?
ケンカって何だろう。翔くんと何があったのかな。
翔くんはちはるの彼氏。
私とちはるは高校生の頃からの親友で、翔くんは同じ高校の1つ上の先輩。
吹奏楽部だったちはるのことを、文化祭で見た翔くんが一目惚れ。
その後の翔くんの猛アタックにより二人は付き合い始めた。
サバサバしていて、美人で姉御肌なちはる。
弟タイプで優しい柔らかな雰囲気の翔くん。
相反する二人だけど、私はこのカップルの空気感が大好きで、親友としても二人を応援している。
大きなケンカもそれほど無かった二人。
しかも泣いているちはるなんて……。
不安が募った。