ポツリ呟いたあと、今度は高校生らしい歩調で校舎に向かって歩きだす。


あたしも置いてかれまいと彼の後ろをついていく。


太陽が燦々と輝いて、その光を反射する先輩のピアス。


そのピアスは桜の花びらの形の女の子物。


けど、少し大人っぽいデザインなので男の先輩でもつけれるような物で、先輩のトレードマーク…………的なもの。


「先輩、そのピアスって夏になったらイルカとかに変わるんですか?」


「………………変わらねぇよ」


「ふーん。…………季節感がないですねー」


知ってるよ。


先輩がそのピアスをずっとつけているの知ってるよ。


桜が好きなのも知ってるよ。


さくらさんが好きなことも知ってるよ。


桜を悲しげに見ているのは自分で気付いているのだろうか。


苦しそうに。桜に焦がれているように。



そう貴方は見ているのを自分で気づいてますか。



ねぇ、先輩。



「何かあったら頼ってくださいね?」


あたしは先輩が桜の上で泣いているのを見たんだよ。


その時の先輩が忘れられない。


苦しそうに。桜に焦がれているように。


あの時、何が彼をあんな表情させたのだろうかと思った。


同時に、ああいう人はほっとけないな。


と思ってしまった。


だから、約束をしたんだ。


儚げな美しい女の人と、悲しい約束を。


「せーんぱい、聞いてますかー?」


「聞いてる。…………頼らねぇから安心しとけ」


「え。必ず、頼らせてみますっ!あたしの将来の夢はアンパ○マンですから!」



だから先輩。



覚悟しといてください。




とゆーか、覚悟しとけっての。