宇宙人とか叫ぶとかマジでイカれてる人じゃないか。


それに。


「あたし、非科学的なものは信じません」


あたしは意外とお堅いヤツなのだ。


自分で見ないと信じない。


自分で感じないと信じない。


だって、認めたくないのだから。


どう足掻いても避けられないものであっても、自分で存在を確認しないと認めたくない。


ある意味それは、ただの意気地無しなのかもしれない。


「美沙ちゃんって、変なところで真面目だよねぇー」


「変なところ?」


「うんうん」


「その笑顔、殴られる覚悟ある?」


どういう意味だコラ。


「誉め言葉だよーん」


「え、誉め言葉だったの?なら、いーや。早く志貴先輩の家にインしましょー」


誉め言葉なら、許す。


丸められた感がするけど許す。


一番の理由はめんどくさくなってきたから…なわけない。


「志貴ー、入っていー?」


「……あぁ」


「ひゃっぽーいっ」


あたしは誰よりも早く志貴先輩の家の扉へと走る。


ドアを引いたら、鼻を掠める志貴先輩の香り。


「いい匂いですねっ先輩」


振り返ると彼らは呆れたような視線をあたしに送っていて、あたしはきょとんの首を傾げる。


「…って、いたたたたたたた!首もげるっ!はるるんっ話せこのド変態っ」


あろうことか傾けた瞬間、はるるんはあたしの所に競歩で来て、首を引っ張りやがった。


何がしたいんだ。


分かったぞ。あたしを殺したいんだな。


なら、こっちも策はある。


美沙ちゃん秘伝奥義<弐>。


「ハグっ」


▼美沙ちゃんというモンスターにハグされることによって相手の精神を削る攻撃。


▼はるるんのHPは4,000減った!


と脳内でゲーム感覚で遊んでいると、はるるんが動いていないことに気付く。


もしかして、HPがマジで無くなったの‼?


え、威力あったの‼?


目から出てくる富士山の水を押さえながら、顔を上に向けた。


「…………はるるん?」