「正解でーーすッ!おめでとうございます!」


「え。正解なの!?」


「そうだよーん。ほら、美沙ちゃん美沙ちゃん。ご褒美にキスして」


ここにして、と彼はあろうことか人差し指を自分の唇に触れさせた。


この色魔が。


あたしはなんちゃってメイドさんですのでそんな事は出来きません。


この時のあたしは、よくある高校生のイベントテンションというやつで。


ふと、いつも変態行為に巻き込まれて溜まりに溜まったものをやり返してやろうと思った。


「はるるん」


彼の名前を呼べば、彼の両目はあたしを捉える。


この後、きっと豆鉄砲を食らったような表情をするであろう彼を想像すると可笑しくて笑みがこぼれた。


「美沙ちゃん。何笑ってんのー。もしかして、俺の裸想像したのー?やーん、えっちーー」


変態ヤローめ。お姉さんもあまりのはるるんの卑猥トークに顔真っ赤にさせちゃってるよ。


大丈夫だよお姉さん。



私、お姉さんの分まで、復讐するよ。


覚悟を決めたあたしは、彼の襟元を掴んで、グッと彼の頭を引き寄せる。


「…えっ、」


予想持てなかっただろうはるるんは、声を漏らして、あたしにされるがまま。


「キスして欲しいんでしょ。ほら、目閉じてよ」


手を滑らして彼の頬を撫でれば、ポッと赤くなったはるるん。


案外ピュアボーイなのね。


少し罪悪感を感じれば、はるるんは戸惑いながらも、ゆっくりと目を閉じる。


そして、あたしはゆっくりとはるるんの唇に自分の唇を押し当てる。


……なんてことはせず、彼の頬を両手で挟む。


パチーン、と乾いた音がして、はるるんが目を見開いた。


「キスなんてするわけないじゃーん。はるるん、えっちーーー」


ケラケラと笑い声を上げれば、はるるんはもっと顔を赤に染め上げて片手で顔を隠す。