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「アリスの迷路へようこそ!ある日、うさぎが懐中時計を盗んで、この迷路の中に逃げていきました。そのウサギは道に道にとイタズラを仕掛けていきました。その仕掛けクリアし、ウサギを捕まえよう!ただし、ウサギは8分後、ワープ魔法によりフィリピンに逃走してしまいます」
ちょっとちょっと。逃走先、やけにリアルだなオイ。
そこ一番リアルに近づけちゃいけないところだからねホント。
入り口でもらった紙を読み上げたが、となりの彼は自分の尻尾の毛繕い中。
そんなに綺麗になりたいのなら、あたしが尻尾切ってやるのに。
…というジョークはさておいて。
「さてさて、狼男サン、どうしたします?」
「どーするー?」
適当に迷路内を散策し中のあたし達。
地味に8分という制限時間があるというのに、のんびりのほほーん。
「やるからには、クリアしたいんだけど」
「美沙ちゃんがそう言うなら、俺もクリアしたいーー」
それ理由になってないっす。頭やっぱりお花畑だね、はるるん。
「………まぁ、とにかく急ご。中庭全体に広がってて、この道の幅を考えたら、ちょっと急がなくちゃクリア出来ないだろうし」
「わお、理論的ー」
「てゆーか、仕掛けってなんだろ」
玉乗りして50メートル走?前回り25連続とか‼?
やっべ!クリアできる気が無くなってきた!!
なんて、思っていると、作られた段ボールの壁。
それに、壊れない程度に軽く体重を預ける女の人がいた。
「第一関門です」
アラビアンな衣装に身を包む彼女は、どうやら仕掛人らしい。
「もしかしてのもしかしてなんだけど。君たちって、“倉條美沙ちゃん”と“朝霧晴くん”?」
何でこの人、名前知ってんの。
怖い怖い怖い怖い。怖いんですけど!!