【優季×美沙】




「あのね、あのね。今日、鈴村さんがカエルの歌歌ってくれたの」


「…………」


「けどねけどね!あの人、音痴だったの!もう同じ音程オンリー!ウケるよねヤバイよね、さすがロボットだよね!」


「…………」


「…………………」


「……………………」


シーンと静まりかえっている病室。


「反応しろやコラ」


あたしは、目の前にいる彼にオコです。


何々。


ぁあ゛ん?


「ジェスチャーじゃ分からないんだけど」


「……………」


「だから、ジェスチャーじゃ分かんないって言ってんでしょバカ優季!喋れや」


「…………」


「今から不思議君路線で行きたい?ってジェスチャーしてんの?」


ぶんぶんぶん、と彼はかぶりを振る


「…ここんところ、来てくれなかったよね。何かあったの?」


ぶんぶんぶん、と彼はまたかぶりを振った。


学ランを身に纏う彼は、いっこうに口を開かない。


もしかして、口を開くと爆発するとか‼?


口を開くとノロウイルスが充満して、みんなゾンビになっちゃうとか‼?


え。嘘。マジで‼?




「優季。人類は優季の口にかかっている」




「…………」


何言ってんだコイツ。と言わんばかりの訝しげな目。


何を言っても口を開かない彼。


事の重大さを理解し、人類を守ろうとしているのだろうか。


やっぱり彼は優しい人。