志貴先輩へ。




志貴先輩がこの手紙を読んでいる。


ということは、あたしがもうこの世を去っているときでしょう。


最後まで嘘をついてごめんなさい。


なにがなんでも、志貴先輩とはるるんには、病気の事は知られたくなかったんです。


それに、志貴先輩は優しい人だから。


あたしとさくるさんのことを重ねて、もっと苦しんじゃうと思ったんです。


なんか、照れ臭いですね。


文字にするなんて、恥ずかしくて体から火が出そうです。


もし出てきたら、志貴先輩は消火器で鎮火してくださいね。


あぁー、何を書こっかなぁ。


結構まだ余白があるんですよねぇ。


1、2、3、4…………うわー。まだまだあるんですけど。なんで、こんなに文が書けるレターセットなんて買ってきてしまったんだろう。


と、言っていたら、数行埋まりましたね。さすがですよね、あたしって。


惚れたって?そうだなぁ。


来世また会えたら、逢い引きくらいしてあげてもなくもなくもないですからね。


今思い出したんですけど、春ストーカーしててごめんなさい。


さくらさんに頼まれたのはいいんですけど、いい方法がなくて、ストーキングに走りました。


ちょっと、反省してます。


さくらさんは志貴先輩の幸せを願って、あたしに願いを託してくれたんですけど、ごめんなさい。


志貴先輩の幸せを邪魔してしまいましたね、あたし。


志貴先輩の幸せをさくらさんを忘れることと自己解釈してしまいました。


初恋の忘れて欲しいなんて、酷なことをしようとしていたなんて、今思うと春の自分を後ろからスタンガンでビビビッとしたいくらいです。


あぁ、…もう行がないですね。


そろそろ潮時でしょうか。


志貴先輩、幸せになってください。


あたしの1年、無駄にしないでくださいね。


では、さようなら。