───『……………気持ち悪』
───『美沙ちゃーん』
志貴先輩。はるるん。
あたしね。本当はね、結構3人でいるの大好きだったよ。
普通の高校生みたいに過ごせて嬉しかった。
志貴先輩は、最初はすんごく冷たくて、さくらさんの趣味を疑ったけど、過ごしていくうちに優しい人だって気付いたよ。
さすがさくらさんの選んだ人だけあるって。
桜のピアス、2つ回収したかったなぁ。
さくらさんの願いを叶えることは出来なかったと思う。
彼の中のさくらさんの象徴であるピアスを片方しか得られなかったし、あたしを好きになってくれなかった。
最後まで、さくらさん一筋だった。
さくらさん、きっと喜んでるだろうな。
はるるんはさ、最初すんごくあたしのこと嫌いだったよね。
志貴先輩といれば、邪魔をするは変なことするし、無駄に勘が良いし。
すんごくやりにくかった。
けど、はるるんは詰めが甘い。
なんだなんだで、あたしを受け入れちゃったし、仲良くしてくれた。
勘が鋭いはるるんは、あたしが志貴先輩にこだわる理由とか当てちゃって、内心ヒヤヒヤしてた。
けど、あたしの正体まではたどり着けなかった。
少し優越感。
ざまあ見ろ、って、笑ってやりたかった。
さくらさんにあのベンチで会えて、本当に良かったと思ってる。
会わなかったら、優季と一緒に学校も行けなかったし、志貴先輩とはるるんとも会えなかった。
とっても、感謝してる。
もし次に彼女に会ったら言いたい。
あの時、声をかけてくれてありがとう。
って。
そして、教えてあげたい。
志貴先輩は、ちょっとずつさくらさんから離れていくよ。って。
さくらさんは志貴先輩の幸せを願って、忘れて欲しいって思ってる。
けど、志貴先輩の幸せって、本当にさくらさんのことを忘れていく事なのだろうか。
あたしはね、そうだとは思わない。
こんなにも自分のことを想ってくれる人なんて、世界中を探しても、滅多にいない。
さくらさんを想いながらも、生きていくのが、志貴先輩の幸せなんだとあたしは思った。