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帰り道。電車から降りたあたし達は、駅から電車までの約5分の道を歩いていた。


「優季ぃー、合格おめでとぅーす!」


「それさっきも聞いたし、ネタ古い」


「まぁまぁいいじゃんいいじゃん。鬼瓦っ」


顎をしゃくり上げ、マイブームのピンクのセーターでお馴染みの芸能人のマネをする。


白けた目で彼に見られたのは、少しショックな出来事だったのは言うまでもない。


「せっかくの合格祝いの顔芸に涙して感動しないなんて首ちょっきんぱの刑だわ」


「世界中のやつが、打ち首にされるだろーが」


誰にもウケない、だと‼?そんなわけないでしょ!


鈴村さんにはウケたもん。


オモシロカッタヨーオモシロカッタヨー、って言ってくれたもん。


「今日のご飯は赤飯だね」


「病人に重いもの食わせるなんて、お前鬼か。お粥で十分だ」


「あ、そっか。優季、病人だったんだね」


風邪薬で復活したとはいえ、優季はまだ頭はくらくらするし、薬の副作用で眠いらしい。


優しい美沙ちゃんは、隣で倒れられても困るのでお手手を繋いでいる。


ぶんぶんっと手を大きく降れば、絡む指に力を入れられ、指が死亡寸前になる殺人未遂が起こったり、となかなかお手手の方は賑やかである。


「優季、風邪移さないでねー」


「分かってる」


「てゆーか、インフルエンザじゃないの?それ」


「それ、お前んとこ行く前に検査してきた。違った」


「マジで‼?鼻に綿棒突っ込まれたの‼?優季が‼?あはははははっ、ヤバイ想像しただけでもウケるっ………指が死ぬ死ぬいたい痛い痛い」


彼に睨まれたのは言うまでもない。


「……てゆーか、優季クン。風邪引いてるのに、万年病人のあたしに会いに来るのってどうよ」


「俺が来なかったら、病院脱走して家に来た奴は誰だよ。おかげで、鈴村さんにインフルエンザじゃなかったら、熱だしても来てくれって言われてんだよ」


そうなの‼?知らなかったんですけど!!


鈴村さん、あたしの知らないところで優しさを発揮してくれてたんだね。


1ミクロンだけ見直したよ。