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ピピッ、ピピッ。


電子音に合図され、画面を覗く。


『38.7℃』と表示される体温計。なかなかの高熱である。


ぐでーとあたしのベットに頭を乗せている彼はどうやら、重症患者のようだ。


「優季クーン、さすがにこれヤバイって」


「微熱だ」


「どこが微熱なんだし。鈴村さーん、優季クンダウンですー」


「はいはい。優季くん、先生に伝えといた方がいいかしら?」


「親父に伝えなくていいですよ」


「忍さんに言ったらいいのに」


「別に対したことない。家にいけば、母さんだっているし」


「そっか。でも、合格発表見に行くのは諦めた方がいいよ。ね?鈴村さん」


「そうね。優季くん、立っているだけでもしんどいでしょ?代わりにお母さんに見てきてもらったら?」


「…………大丈夫です。俺が見に行きます」


「優季、意地張らないの。しょうがないから、あたしが見に行くよ」


「そこはしょうがなくない」


「ノリでいいよ、って言うところでしょバカ優季っち」


「………………」


無視なのね!今日は無視多いね!無視デーですね!春は虫大量発生ですもんね!それにかけているですよね!無視、……。虫、…………。


クソ面白いギャグじゃん!熱あった方がギャグセンスがピンピンじゃん!どしたの優季クン!


「鈴村さん、どうする?」


「とにかく、優季くんのお母さんに連絡してくれる?こんなので合格発表行ったら、帰り道にトラックに轢かれて終わりよ」


物騒なリアルな言い回しだなオイ。


せめて軽自動車にしてあげて。


「優季マザーに連絡して、合格発表はどうします?ガチであたしが見に行ってもいい?」


「……………はぁ、」


ため息て酷くない?鈴村さん。


彼女はあたしを一瞥してから、優季に視線を移した。


「美沙ちゃん、あぁ言ってるけど。いいの?」


「いい訳ない。お前の方が寝てろ」


「あたし、最近元気だよ‼?いけるよ!お使いくらいなんて、出来ちゃうぜベイベーッ」


「俺よりお前の方が心配だ」


「そんなバナナ。最近、体調子いいよね?」


ちらり同意を求めるように鈴村さんを見たが、マッハで逸らされた。