side .Y
「相川、ご飯一緒に食べようぜ」
1年の頃からの唯一友達に話しかけた。
2年になってからは、美沙もいなくなって、気持ち少し友達が増えた気がする。
昼休み。
昼食の時間だ。
美沙が一人暮らしをしていたとき、美沙に作って貰っていたお弁当。
もうそのお弁当を食べることは決してなくて、目の前のメロンパンを睨んだ。
…という行為が昼休みの恒例になってきた今日この頃。
美沙の作る料理が恋しくなってきた。
ブーブーとポケットの中でスマホが震える。
どうしてだろう、嫌な予感がする。
恐る恐る取り出して、メールの内容を見ると、色を失った。
声も出なくて、必死になって出た声は、
「み、さッ、……ッ」
酷く掠れた声で、それが鼓膜を揺すったと同時に、地面を蹴る。
目指すのは、保健室。白衣を着たウザい男の居場所まで。
廊下を走っていると、知らない女子から話しかけられるが、無視をする。
「…………っ、」
3年校舎にある保健室。
保健室に入ると、病院に似た消毒の香りとカフェに似たコーヒーの匂いが混じっていた。
湯気が上がるコーヒーをスプーンでかき混ぜている彼は、横目で俺が来たのを確信した。
「橋本、」
「車出せ。5分でアイツら呼んでくるから。駐車場」
「はいはい」
彼はかったるそうに首もとを掻いて、俺をまた一瞥する。
「バカか、お前は。3分だ、急げ」
「分かってるっての」
嫌み混じりの言葉を落としてから、3年の教室に向かった。