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「鈴村さんっ、かーえりましょー」
「はいはい」
「お手手、繋ごう!」
「は?嫌よ」
倉條美沙、ロボットクソババァにフラれました。
「もうもう、鈴村さん、冷たいなぁ」
繋いで欲しかったなぁ。
行き場を無くした手を後ろで手を組み、体を伸ばした。
どくん、どくん。
どうしても動悸が収まらない。
嫌な予感がしかしないのは、気のせい気のせいだと暗示をかける。
車に乗り込めば、座るのもおっくうで、後ろの座席にべたーと体を倒した。
「ちょっと、子供じゃないんだし、座ってから寝てちょうだい」
「ぴちぴちの16才は未成年です」
「つまみ出すわよ」
「はい、すみませんでしたぁぁぁあ」
恐ろしいよクソババァ。
座り直して、シートベルト。カチッとはまった音がすれば、シートベルト完了だ。
静かに車が動き出しても、動悸は収まらない。
「雨、降りそうだね」
「そうね」
「ちゃんと、洗濯物中に干してある?」
「美沙ちゃん、私の母親になるつもり?」
ロボットの母親?
「いくらあたしが賢いからって、博士にはならないよー」
「意味分からないわ」
「オイルが足りない、だって?ガソリンスタンド寄る?」
「優季くんに今日の事、言うわよ」
「………ゴメンナサイ」
「そういえば、いいのよ」
鈴村さん、看護師なんかよりどっかの女王の方がお似合いだよ。