「……志貴」
「…んだよ」
「…なーんにも、ないよー」
大丈夫かなぁ、って少し思っただけ。
「どうするわけー?美沙ちゃん」
「どうにもしねぇし」
「ふぅん」
どうにかしなきゃいけないと思うんだけど。
橋本くんとか橋本くんとか橋本くんとか橋本くんとか橋本くんとか橋本くんとか橋本くんとかに、美沙ちゃん取られちゃうよ?
でも案外橋本くんじゃなくて、御幸っちとかもアリかも。
あ、でも。御幸っちと美沙ちゃんが結ばれたとしたら、その日はきっと御幸っちの命日だろう。
橋本くんがあんな変態に美沙ちゃんを渡すなんてあり得ないだろうから。
怖っ。橋本くん、怖っ!引く!
「てゆーか、お前。さっきなんで、告白しなかったんだよ。俺、邪魔だったか?」
うん。確かに。
親友の前で告白とかどんなシチュエーションだし。
そんな場面で告白とかよくよく考えたら処刑だね。
振られたら、もう死ぬしかないでしょ。
「よかったー。俺、死なずに済んだわ」
「は?意味分かんねぇし」
彼は眉間にシワを盛大に寄せながら、ため息をついた。
「晴」
「何ー?」
「俺に遠慮とかすんなよ」
「ん?それは認めちゃってるのー?」
美沙ちゃんが好き、ってことを。
「………………」
返答はなし、ですか。さいですか。
まぁ無視されるのはよくあることだし、傷付きはしないけど。
「晴」
「だから、何ー?」
「……………………やっぱ、何にもねぇよ」
あっそ。
そっぽを向くと、空が見えて、遠くには灰色の雲。
少し嫌な予感がした。