****


「鈴村さん」


「あら、優季くん」


「美沙は、どうですか?」


「うーん。そうねぇ、…空元気って感じかしら。いつもよりハキハキしてないわ。ちなみに今は寝てるから、静かにしてあげてね」


「分かりました」



なんだよ、それ。


あたしは、布団に頭までくるまりながら、入り口付近で話される会話を聞いていた。


「…………………」


あのロボクールオバサンめ。


色々勘づいてやがったよ。


さすかロボット。抜け目ない。


コツコツコツ。


足音があたしの方へと近付いてくる。


寝たフリしとく?いや、しない方がいい?


彼のローファーと床とぶつかる音が無くなる。


どうやら、彼はあたしの目の前に到着したらしい。


「美沙」


「………………」


え、ここ返事すべきなの?


「……だよな。起きてないもんな、お前」

……oh……………。



今更、起きてました、なんて言えねぇよ!



タイミング見失ったんですけど!ねぇ鈴村さん‼?oh‼?鈴村さぁああぁあぁんんん‼?


意味の分からないことを心の中で唱える。


とにかく。もう起きてましたポポポホーンなんて出来ないんだから、バレないように精神しよう。


いや、待つんだ。倉條美沙。


実はドッキリでしたーー作戦があるじゃないか!!


そうだよ!ぼさっとするな、あたし!


優季の虚を付くのは、今じゃ!!


我に軍配あり!


と、布団に手をかけようとしたとき。



「……………」



まさかの優季に先に布団を先に取られたパターン。


アクシデント発生です。


助けてドラえもん!もうドラえもんじゃなくてもいいよ、お願いアンパンマン!!


それもちょっと高望み過ぎ‼?確かに、アンパンマンは優季並みに皆のアンパンマンだもんね!


お願い、ミタさん!助けてミタさん!ロボットとかオバサンとか呼んでホンットすいませんでした!


ごめんって。ほんとごめんってば。


……………。


あぁもう!誰でもいいよ!助けてゴキブリちゃん!


もう茶色の物体とかGって呼ばないから!


もう優季の数学のノートじゃなくて、漢文のノートで対決してあげるからぁあぁぁぁあああ!!!!