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とある学校の一室。
「んで、結論は出たのかよ偽善者サン」
「殺すぞ」
「ハッ。教師に向かって言うとはお前マジでムカつく」
白衣を着た男は、制服を着た生徒を睨んでいた。
色素が薄い髪に、飴色の瞳。
学校の女子生徒が王子様やらなんやと騒ぐのも分からなくもない。
おまけに病院の息子であり、成績は特待生に続く2位。………と言っても、その特待生である彼女はもう学校には存在しないけれど。
「あと、もって2ヶ月らしい」
「へぇ。あんだけ、やらかして、そんだけで済むんならマシじゃねぇか」
白衣を着た男は、椅子に座り足を組む。
ポケットから出したタバコに火をつける。
はぁ、と彼が吐くと、紫煙が彼らの間にゆらゆらと揺らめく。
「臭い」
「ぁあ?慣れろ」
「常識的に学校は禁煙だろクソ教師」
「グチグチうるせぇガキだな」
「なんで、こんなんが教師なのか不思議でたまらない」
バチバチバチ。彼らの間に紫煙だけでなく火花も散る。
「答え、出たか?ガキ。2ヶ月悠長に考えた答えを聞かせろや」
波のように、紫煙は揺れる。
飴色の瞳の彼は、決意を決めたように口を開いた。
「今回だけ、だ。乗ってやる」
飴色の彼は、彼女の願いに背いた。
白衣の彼は、ニヤリ口角を上げた。
外から中に風が吹いてきて、クリーム色のカーテンを膨らました。