よくよく考えれば、彼女が俺らと過ごす日はバラバラ。


春、まだ彼女がストーカーだった頃、行きか帰り、どちらかはストーカーしていた。


夏、彼女がラブホを襲撃した頃、………。あ、そもそもあんまり一緒に居なかったや。オネーサンの家、ずっと渡り歩いてたんだっけ。


秋、文化祭があった頃、この頃は朝の登校は3人というのが固定化されていた。


けれど、帰りはそういうのなかったなぁ。


朝の登校が固定化されてから、彼女と帰る回数は減った思う。


冬、文化祭とか色々あった頃、美沙ちゃんは俺らから逃げに逃げていた。


………というより、俺から逃げていた、という方が正しいだろう。


無理矢理やめさせたけど。


彼女との一年を思い出すと、短くて濃い1年。


ミルクティー色に染められた髪が、春の風に揺すられる。



「晴」



振り返って居たのは、案の定、志貴で。


ヘラリ、笑みを作って見せた。


「おっはよー。春休みの宿題やったー?」


「あぁ」


痛みを知らない彼の黒の髪が、風に吹かれる。


その時に気付いたことが1つ。


「ピアス。外しちゃったの?」


「……………片っぽ、無くした」


嘘つけ。片方、美沙ちゃんにあげたんでしょうに。


彼は“藤崎さくら”という肩の荷が降りたのかして、どこかスッキリしている。


誰がやった?それは愚問である。


美沙ちゃん。絶対、彼女だ。


となると、藤崎ちゃんのお願いは果たしたということになる。


必然的に、もう俺らと居るメリットはなって。





──『美沙ちゃん。これが終わったら、本気で俺らとお別れしちゃう気でしょ』




これが現実となったのだ。