side.S
「志ー貴。何キョロキョロしてんのー?美沙ちゃん捜しー?」
「………………」
否定をすることも出来ず、口を閉ざす。
「やーん、図星ー?」
「………………」
「もうもう志貴ったら、冷たいー。んで、観察結果はー?」
「いねぇ」
「だよねー」
ミルクティー色の髪を風に触らす彼は、目を細めた。
「もう2年生終わりだねー」
3月。卒業式も終わり、終業式も終わり、LHRも終わり。
あと下校だけが残っている。
これで晴れて2年生終了だ。
次、学校に来るのは新学期。春を感じれる4月。
そして、受験生の仲間入りを果たすのだ。
……そろそろ、英語本気でしなきゃヤバイな。
……なんて、思う今。俺たちは、1年の生徒玄関の前で待ち伏せをしていた。
晴が提案をしたくせに、彼はずっとスマホを弄っている。
「お前も探せ」
「美沙ちゃんレーダーがあるから大丈夫ー」
どこが大丈夫なんだよ。
大丈夫な要素が1つもない。ただ残念な要素があるだけだ。
「………アイツ帰ったんじゃねぇの?」
「それは、ないっしょー」
一番最悪な仮定を彼に言えば、彼はバッサリ斬る。
「なんでだよ」
そう聞けば、彼は裏のあるような瞳をちらつかす。
「美沙ちゃん、絶対会いに来るって。まだ、終わってないでしょ」
何が終わってないんだよ。
彼の言葉は意味不明すぎて、無視をする事に決めた。