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あたしがいるのは、純白の世界。
あたしが居るべき、寂しい世界。
窓の外をみると、この建物の前に立つ木が風を受けて、揺れている。
「とっても、寒そうだなぁ…」
あたしがいるところは、暖かいのだけれども。
もうぬくぬく。
こたつの中に全身入っているくらい暖かいかもね。
「それにしても、退屈なんだけど」
動けないは、誰も来ないは、…。
つまんないし、つまんないし、つまんない。
ここにあるのは、ゲームと宿題とスマホのみ。
ここに来て、もうすでに二週間弱。
いつの間にかにクリスマスも過ぎたし、年も明けた。
その時もここにいた。
そういえば、優季がクリスマスにはネックレスくれたんだよね。
意外とそれが可愛くて、お気に入り。
年明けには、優季と年越しそばをここで食べた。
もちろん、紅白も見たよ。
ちなみに言うと、あたしは大晦日は日本テレビ派なんだけど、優季がどうしてもっていうから NHK にした。
美沙ちゃん、譲ってあげたわけよ?
なんて、優しいことでしょうか。
「あたし、石油王のお嫁さんになれるかも」
きっと、石油王もあたしの優しさにイチコロだ。
コンコン。
扉をノックする音が機械音に混じって聞こえた。
「どうぞ」
入ってきたのは、コートを着た優季。
「久しぶりんごりらっぱんつ」
「昨日会っただろ」
りんごりらっぱんつ、をつっこんでほしかったのに、違い所をつっこんでくれた彼。
「プリン食べたいかも」
「指でも食べとけ」
なんて冷たい男なんだろうか。