純白の世界に、ただ一人。
聞こえる音は定期的になる機械音。
外の世界と別にされたこの世界は、まるであたしに居るべき世界を提示しているよう。
がちゃり、開いた扉には、鈴村さん。
この世界に立ち入る数少ない人だ。
「美沙ちゃん、調子はどうかしら」
お上品な彼女は丁寧に作業をしながら、あたしに問いた。
答えは、一つ。
数年前からずっと同じ。
「大丈夫ですよ、鈴村さん」
目の前のモノクロ世界の住民は、
「良かったわ」
と何年間も変わらない機械的な返事をしてくれた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…