side.S


「もーいーくつ寝ーるとーー、お正月ーーー」


「ジングルベールジングルベール鈴がなるーー」


正月ソングとクリスマスソングを交互に歌いながら、勉強する一年学年トップ。


変人レベルはもう最高レベルに到達しているだろう。


「……晴、ここ。わかんねぇ」


「はいはい。優しい晴くんが教えてあげますよーん」


イラ。教えてもらうのに、殴ったらダメ殴ったらダメ。


そう怒りを押し沈めて、晴にテキストを見せる。


「…はるるん。ここ、分かんない教えて」


「数学ー?数学は志貴の方が出来んだから、志貴に聞いてちょー」


「使えないねホント」


「使えないって何!?俺って何!?」


「たらっしー星と変態星のハーフの欠陥星人」


「酷くね!?何それ!」


「煩いから。…先輩、教えてください」


少し変わったことがある。


ストーカーする方とさせる方が正反対になったのも変わったこと。


そして、


「先輩。ここなんですけど、…」



目の前のこいつが“志貴先輩”でなく“先輩”と呼ぶようになった。


晴については、はるるんと呼んだりしているけど、前より名前を呼ばなくなった気がする。


何考えてんだよコイツ。


分からなすぎて、髪の毛をくしゃりと掴んだ。


「…先輩?」


コテン、と首を傾げた。


「……………っ、」


「ちょ、はるるん!!志貴先輩が顔真っ赤なんですけど!!」


「…~ッ!」


なんで、こんなときだけ志貴先輩なんだよ。


「ちょっとー、美沙ちゃーん。何志貴にしたのー」


「あたしのせい!?さっきのハーフの下りの恨み!?」


「とにかく、美沙ちゃんは志貴に近づかないことー」