「あたしと先輩たちは、もう一緒にいたらダメ」
壊れちゃう。
あたしも、あなたも。
「先輩たちも、ストーカーが居なくなって清々するんじゃないですか?」
もうあたしを忘れてください。
これが、さくらさんの願いであって、あたしの願いです。
「じゃあ、先輩。話はこれで終わりですよね?さようなら。車に気を付けてボッチ登校してくださいね」
ローファーで地面を蹴る。
はぁー、と息を吐くと、白い。
寒いなぁ。
マフラーに顔をうずくめた。
振り向くと、志貴先輩はさっきの場所にいなくて。
一メートルほど歩いたところにある塀にもたれ掛かっていた。
ぱちり。目が合う。
「……………」
「……………………」
くらり、と視界が揺れた。
その視界に住む彼の姿も揺れた。
何も言葉を交わすことなく、前を向き直した。
「さて、美沙ちゃん。1限目は、英語の100門テストです。今日も1日頑張ろーーーー」
頭を切り替えて、学校へ向かうのであった。