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「ごめんって、な?美沙。悪かった」
「知らないしっ、優季なんて知らないし」
彼との距離は約二メートル。
絶賛喧嘩中です。
もちろん、原因は朝の出来事。
何故かあたしのベットに潜り込んできた優季。
別にそこはどうでもいい。
小さいとき、よく一緒に寝てたし。
抱きついてきてたのも、別にいい。
優季のこと、大好きだし。うん。
思いっきり、あたしの胸に顔をうずくめてたのも、別にいい。
あたし、Aだし?胸の感覚がなかったもしれない。うん、これはあたしが悪いかもしれない。
けどね!けどね!
寄せたら、Bくらいはあるんだからね!そこんとこは、ちゃんとご確認いただきたい。
べ、別に?胸がないのが悲しいなんて思ってないからね。
胸ないと、キビキビとした動きが出来るからいいもんね!体重その分軽いからいいもんね!
少し目頭が熱くなってきたから、胸の話はさておいて。
問題は、
「優季さ、抱きついてきてたくせに、あたしが抱きつくと奇声上げて、距離とったわけ!?」
「奇声は上げてない」
そんな細かいところはつっこまないの!
「あたし、傷ついた!!」
そうなんですよ。優季くん。
あたしが抱きついたら、奇声を上げて(あげてない)、あたしと五メートルの距離を取って、文句を言ってきたんです。
自分はやっておいて、あたしはNG?
「うぅっ、……傷ついた」
倉條美沙。いと悲し。