「美沙ちゃん。これから少し時間ある?」
さくらさんの急な誘い。
あたしもさくらさんと話したいけど。
時計を見ると長い針が3をさして用事の時間が迫っていた。
「あたし、30分から用事なんですよ。15分でよければ…………」
「15分もあれば大丈夫よ」
「そうですか。よかったです。話って何ですか?」
初対面なのにそんな改まってするような話ってどんなのだろうか。
どきどきどき。
こんな経験をしたことないあたしは、心臓を鳴らしていた。
「ねぇ北府高に入るのよね?」
確認するように聞く彼女。
「はい、そうですよ」
そう答えると、意志を固めたように彼女は拳を固めていた。
彼女の黒の瞳を見ると、強い意志をした揺いでいなかった。
けど、そんな瞳なのに一瞬だけど。
悲しげに揺れたのは気のせいなのだろうか。
「ねぇ美沙ちゃん。約束をしない?」
「約束、ですか………?」
「うん」
どんな内容なんだろうか。
けど、不思議と、
「…………いいですよ。あたしでよかったのなら」
彼女の約束を守りたいと思ってしまう。
「美沙ちゃん、ありがと。あのね、」
「はい。何でしょうか?」
桜の蕾があたしたちを覗いてる。
もう少しで桜が咲く。
春の季節がやってきた。