ある日のこと。
この日の夜はお母様やお姉様は、たいそうパンダチックなおめかしをして、夜早くでかけていった。
「今日のお掃除終わりっと。今日の呪いも頑張ろー!!」
一人、自室で気合い入れをしているときのことでした。
「願い、叶えてやる」
という言葉と同時に、一人の男が落ちてきた。
「えーっ、と、…………不法侵入です」
シンデレラは、怪しげな男に1つ申した。
「俺は、魔法使い」
(無視かよコノヤロー)
「はい、なんでしょうか。かっこいい志貴せ…………不恰好な自称魔法使いさん」
「自称じゃねぇ。本物だ」
魔法使いの男は、クソなんでこんなヤツに出なきゃいけねぇんだよ。マジで晴殴る、と謎の言葉を呟いた。
「ねぇ、魔法使いさん」
シンデレラは名案が浮かんだのかして、あやしげに口角をあげていた。
その姿は艶やかで美しい。
「お姉様の鼻にトカゲ、つっこんでくれないかしら」
しかし、彼女の口から発っせらせるものは、とても色気のあるものではなかった。
「俺は魔法使いだ」
「うん。知ってる」
「なら、何故それを頼む」
「魔法使いだから、ちちんぷいぷいのぷーいでしてくれるでしょ」
「………………」
魔法使いの男は呆れる。
「…なぁ、お前。知ってっか。10分後、城で第一王子の婚約者決定の舞踏会が開かれる」
「へぇー」
「お前、行きたいとか思わないか?」
「いや、別に」
(この家で仕返しする方がきっと楽しいにきまってる)
「…………もう一度聞く。行きたいと思わないか」
「全然」
「……………」
(なんで、この男はあたしをそんなに舞踏会に連れていきたいのだろうか。ん?……もももももしかして!)
「あの、魔法使いさん。あたしはその、貴方がどのような性癖であろうが引きませんよ。その、同姓婚とか、あたし賛成派なんで!」
シンデレラはバッチグーと親指をつきあげた。
「………その指、トカゲにするぞ」
「てへぺろ」
シンデレラは即座に親指をしまった。
「んで、魔法使いさんはあたしをどのようにさせたいわけ?」
「……消し灰にしてぇ」
「殺人者になりたいのね。オーケーオーケー」
「ぶっ殺すぞ」
「マジで言わないでください志貴先輩、………じゃなくて、魔法使いさん。ちょっとしたアドリブジョークです」
「…アドリブジョークで俺に被害が出た。だから、舞踏会に行け」
「アドリブきついっ、………ごほんっ。まぁいいでしょう。行くだけだしね」
こうして、シンデレラはお城にいくことになりました。