まず、見るべきは3年4組の動画鑑賞だ。
入り口でもらったパンフレットを開き、3年4組の出し物の場所を調べる。
2年棟?…2年生専用校舎っていうことかな。
そうパンフレットには明記されていた。
よし、行きますか。
廊下の隅を陣取っていた私は重い腰を上げた。
ズンズンズン、と人の波をかき分けて、2年生棟に潜入成功。
3年4組は2階だから、階段を上がる。
上がるにつれて、少し人の波は収まってきた。
「……げ」
無意識に乙女らしからぬ声を上げた。
いや、だって。
何でこんなに行列が……ッ!!
優季くん騙したね‼?動画鑑賞だし、人は少ないよってメールで言ってくれたよね‼?
優季くん、いつの間にそんな人になっちゃったの‼?
3年4組『シンデレラ倉條さん』なんていうお姉ちゃんの名前をフル活用して客を捕まえようとする意図丸出しの看板を先頭に、行列。
私も仕方なくその行列の最後尾に並ぶ。
すると、暫くして『こちら最後尾です』という看板をもった人が来て、
「一時間待ちでもよろしいですか」
と私に問いた。
「……………………ハイ」
私の目的これだし、仕方がない。
ボッチで来た私には、もちろん話す相手も居なくて、ぼけーと窓の外を覗く。
「……………………」
中庭に繰り広げられていくのは巨大迷路である。
とんでもないほど、クオリティーが高い。
高校生の枠を越えていると思う。
「………………」
小一時間後。
「お待たせいたしましたー!前から順に詰めてお座りください」
やっと入れた…。
奥から詰めて、詰めて。
私の座った場所は3列目の端。
微妙なところだった。
「では、再生します。動画を撮影するのはお止めください。見つかり次第、そのケイタイを壊せ、との倉條さんからの伝言がありますので、お控えください」
スクリーンに動画が写り始める。
話の内容はこうだった。
大雑把にいうと、シンデレラ役のお姉ちゃんが玉の輿をする話である。